6.中世の音楽の素晴らしさ


               中世の音楽との出会い

18才の時、大学で学ぶ為に福岡に出てきました。下宿の近くに大学教授のW先生が住んでおられました。縁があって、先生の自宅の居心地の良い書斎で「フランス、トルバドールの歌」というLPレコードを聴いてから、もう33年が経過しました。その時に、バッハ以前に、こんな素晴らしい音楽があることを知り、それから33年かけてフランス、プペイン、ドイツ、イギリスの自然で美しい旋律をじっくり聴き、中世の音楽を探究してきました。

また、世俗音楽の起源は、いつ頃、どういう音楽であったのかという興味深いことを探求してきました。それは、フランスの十字軍の遠征の時に騎士が故郷に残した恋人や妻の事を思い唄ったトウバドゥール(吟遊詩人)ではないかとわかってきました。このトウバドゥール(吟遊詩人)は、12世紀に現れ完成された詩と音楽をもった芸術であり、あくまでも音楽として磨かれております。これは東洋的で、アラブ的な歌唱であり、心に響いてきます。

吟遊詩人は、インド、ペルシャの2世紀ごろ見られ、そしてギリシャに伝わり、イスラムのアンダルシアで発展していました。その首都コルトバには、音楽学校が作られ演奏家も育てていた。それは、ヨーロッパより数段優れた文化を持っていた。それが、ヨーロッパに伝わり、12世紀にフランスのプロヴァンスや南フランスので高い音楽が育ったのである。このトルバドールの音楽が北フランスではトルヴェールと発展し、ドイツ、イタリアに広がっていき、ヨーロッパの世俗音楽の源流となったのである。

太宰府に住んでいるばかりではありませんが、古いものや長い時間をかけてできたものは素晴らしく味わいがあります。そういう日本的なものと中世ルネサンスの音楽を聴くという日々を長年続けてきました。今まで、幾度となく音楽を聴くことが心の支えになったかわかりません。今後も、ひとつのことをじっくり取り組み、作り上げるといった生活をしていきたいと思います。 

中世の光を感じながら

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