19,ツィーターの追加とその調整法

            オートグラフ+ツィーターで、オールホーンシステムの実現
 タンノイのオリジナルの聴かせるあの品の良い、奥ゆかしい甘美な音は、それ以後のユニットからは、なかなか鳴りません。しかし、このKー3808のユニットの国産箱は、かなり箱も丁寧作られており、中高域もしっかりしています。しかし、じっくり聴きますと高音部が少し被っているのと中低域が抜けきれないことが、この20年間使ってきてわかってきました。 これを改善するには、ツイーターを追加するのも1つの方法と考えています。この30年間オーディオをやってきて、追加するならば、今回、やはりオートグラフがフロントホーンとバックロードホーンですから、ツィーターを追加するにしても、オールホーンシステムにして統一した方式で音作りするしかないと考え、ホーンのツィーターを、色々と捜したました。しかし、本格的なホーンツィーターは1本が20万円以上するので、一時あきらめていました。すると、友人から、ちょうど家に10年ぐらい使い5〜6年間眠ってホーンツィーターがあるので、もしこれでよかったら使わないかと話しがあり、譲ってもらうことができました。このユニットは、あの本物のWEの研究家として有名なカンノ制作所のKー507です。(管球王国35号の表紙に載っています。)20年前から欲しいと思っていましたが、高くて手がでませんでした。しかし。偶然これが中古ながら手に入れることができました。友人に感謝すると共に、出会いの不思議さを感じています。このホーンツイーターをオートグラフに追加して、オールホーンシステムにして音作りをする決心ができました。すべてのタンノイにツイーターを追加すれば良いとは考えていません。このK−507が入手できたから実現できたのです。

 実際にオートグラフにツイーターをつなぐ計画は出来ましたが、いったいどうつなげばよいか全く、私には、わかりません。一から時間をかけて勉強しました。また、実際にこのK−597を使っておられる知人にも数件出かけました。しかし、どの方も長年苦労して、やっと今の音が出ているとのことでした。しかし、ユニットも手配したし、もう後戻りできません。まず、ローカットのコンデンサーをどうするかと調べ、、SOLENの1μFでスタートしようと注文しました。安いが、コンデンサーによって音がごろごろ変化することがわかってきました。今までやった事のない苦労が次々に出て苦労しました。次は、タンノイとつなぐのに、アッテネーターが必要なことが、わかってきました。しかし、抵抗式のアッテネーターでは、音が変化してしまうことがわかり、トランス式アッテネッターを友人に頼んでパーマロイで作ってもらうことにしました。この2つのことが決定するまで1ヶ月もかかってしまいました。しかし、こういう風にして、苦労して音作りをしなければ、業者に相談するだけでは、お金もかかり良い音へとは、簡単にならないことがわかってきました。

 次は、更なる苦労が待っています。このツイーターの調整の要領は、色々友人に相談しましたが、やり方は様々でした。そこで、インターネットで色々と検索して、自分でもやれて、それなりの成果が得られた1つの方法を紹介します。まだ、いろいろあると思いますが、私の場合は、これで一応落ち着いています。
                                                                                              ツィーターの調整法

1.テストソースとして、普段聴きなれた編成の少ないヴォーカル、できればア・カペラを用意する。

2.スピーカー天板に、スーパートゥイータの前後位置をマーキングメモできるように、ビニールテープ等を縦長(前 後)方向に貼る。スーパートィーターの側面に沿わせて両側に貼るのがベター。

3.どちらか一方のチャンネルの音を切って、片チャンネル1台毎に調整する。

4.目を閉じて、人の声をイメージする。ここがポイント。
 もし傍に人がいれば、目を閉じて相手の声に耳を傾ける。サ行の炸裂感、特に口の中のどの位置から聴こえてく るか、パ行の破裂音、ア行の母音、一つ一つ耳を傾ける。

5.調整のための試聴はニアフィールドで。

6.スーパートゥイーターの位置を、奥の方から手前にゆっくり引き寄せる途中で、段々リアルな声の表情になり、 手前まで寄せると、明らかに行き過ぎと分かる声の変化がある。

7.同じことを繰り返す途中で、今度は「ここぞ」と思うところで手を止めて、先程貼ったテープにサインペンでマーキングする。

8.これを5回以上繰り返すと、誤差が減少すると同時に、誤差の一番前の声の表情と、一番後ろの声の表情の違いが分かり出す。ベストと思うところの1oほど後ろが最適とのこと。

9.左右で、微妙に位置が違っても問題ない。自分の耳を信じること。

  音を判断した方法に、勘違い、間違いはなかったか、もう一度見直してみよう。

  これが、今回の取り組みでは、一番大変でした。しかし、じっくりと取り組み、苦労して自分の耳でチューニングして、初めて、自分の望む音作りの一歩が出来ていくと思います。

  今回、多くのことを教えて頂いた先輩方、また調整のやり方をわかりやすく公表して頂いた多くのオーディオ好きの方々の蓄積された、その熱意と音楽に対する情熱に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。



                                     戻る