13.QUADの響き


久しぶりに家族そろって、大分の由布院に出かけました。女房の友人のB夫妻に誘われての、日曜日の日帰りの旅です。由布院にはいると、すぐ目の前に薄く雪化粧をした由布岳がそびえて、私達を出迎えてくれました。
清らかな川の流れを見ながら、冬枯れの風情のある風景に心をときめかせながら、まずは、温泉に入りに行くことにしました。玉ノ湯の湯船にざぶんとつかると、先ほどまでの緊張が一気にほぐれてきました。また、長男が潜っては水泳をしている。隣の女風呂でも、女房と娘が露天風呂でのんびりくつろいでいるようだ。小さく話し声が聞こえてきます。久しぶりの平和な一時である。風呂からあがり、少しくつろぎ、喫茶部に行き、あんパンとコーヒーを注文した。静かに流れる中で、会話を楽しみ、お湯の余韻を味わった。コーヒーもおいしく、パンも美味であった。

次に、竹細工作家であるNさんの仕事場を見学に行くことになりました。仕事場は空想の森の手前にあり、山々に囲まれた自然の中にありました。その仕事場の前方の一番良い場所にクォードのスピーカーが置いてあり、自作の木枠に二段スタックになっており、渋く金色に輝いています。

真空管アンプに灯がともり静かにレコードがプレイヤーの上にのり、バッハの音楽の捧げものがクォードのスピーカーから鳴りだした。この由布院の冬の激しさの中にそびえる由布岳のようにきりりとした中に、さわやかな香りを帯びた音楽の響きに心が震えた。久しぶりのバッハである。この由布院にも偶然にもイギリスのスピーカーであるクォードに出会い、そして私の好きなバッハに巡り会いました。

曲はフルートの調べからチェンバロにかわった。実に雰囲気が出ている。ヨーロッパの雰囲気が出ている。聴きながら今度の旅は、この音楽に出会っただけで、大きな収穫であった。Nさんの作る味わいのある竹と和紙で作った照明の作品には、繊細でかつ雄大な響きを併せ持つ、クォードと共通するやさしさとデリケートさが感じられ、とても豊かな気持ちになった。

この、由布院に来てはじめて、しみじみと日本の美しさを発見し、私達家族にとっても、この由布院は、これからも必ず大切な心のよりどころになる場所になる「予感がしています。

湯布院より由布岳を臨む

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