12.湯布院の思い出


日曜日、友人のBさんを通して、湯布院のO院長より、K画伯を紹介していただいたので、夫婦で訪問しました。K画伯は、湯布院を愛し60年間もの間、由布岳に魅せられキャンバスに由布岳を描き続けてきました。若いときより、音楽を友として生きてこられた、素晴らしい人物ということです。そういう方なので、簡単には会ってもらえず、今回は特別にO先生の紹介ということで、連絡をとっていただき、私にとってとても心に残る訪問となりました。

K画伯のアトリエは、湯布院の金鱗湖のほとりに、自然にとけ込んで立っていました。アトリエに通されると、私は、あっとびっくりしました。K画伯の多くの絵に囲まれ、愛情こめて調整されたオーディオが静かに置いてありました。
まず一番に感動したのは、百才にならんとする画伯が、まさに年齢を感じさせず、きびきびと自分の主張を私達に話され、特に頭は百才になっても、ますます冴えてきているという堂々たる人生観を持っておられることです。この画伯の生き方を拝見し、まだ画伯の半分も生きていない自分に、50才では、まだまだこれからである。今後迷わず前向きに人生を生きようと、強く勇気ずけられました。

そして、絵についての話題になり、今このアトリエの正面にかかっている絵は、私の99才の時の作品である。絵は絵の具の上に絵の具を塗りつけていったら困る。色を重ねては、本物の色は出てこない。考え抜いた上で重ねる場合は良い。ゴッホは100年に一人しか出てこない。ゴッホ以後ゴッホを超える画家は今も出てきていない。

天才は、努力してできるものではない。それは、その人物のもって生まれたものである。ものを見る目とはそういうものである。次に音楽をお願いすると、自分でレコードをかけられ、そして静かに話された。イギリスは素晴らしい。音楽に関しては、100年の歴史がある。日本やアメリカでは、わずか半分であろう。それでは、本物の音楽は生まれない。そしてイギリスのグッドマンのアキシオム80で、ウィンフィルのモーツアルトを聴かせていただきました。K画伯の音はまさに、西欧の香りを伴い、聴く者に深いものを与えました。

最後に、SPで名器クレザンデを聴かせようと、自分でゼンマイをまかれ、SPを置き、針をおろされると、このアトリエが、何と雄大で、かつ電気で色づけされず、こころの中に音楽の感動が溢れてきました。まさに画伯と共に生きてきた音の歴史を感じました。

 

       湯布院で出会ったゴッホ

ひっそりとした日曜日の昼下がり
金鱗湖のほとりにあるアトリエで
黙々と絵筆を動かす孤独の画伯
湯布院の美しさに魅せられ
40才から100才までの60年間
由布岳を愛し、その情熱をキャンバスに描き続けた
その作品が今、やっと完成した
そして、今、私の目の前にある
画伯の描いた由布岳を見ていると
燃えるような情熱をキャンバスに表した
偉大な画家ゴッホ、百年に一人の天才ゴッホ
まさにその姿を絵を見る者にすべてを
感動の世界へと運んでくれる
百才にならんとする画伯
偉大でかつ人生を自由に生きてこられ
そして、とぎすまされた感性で
感じたすべてをぶっつけ
やっと完成した由布岳であった
それは、偉大で美しくきびしさのある
由布岳であり、やさしくもあたたかい
そして美しいゴッホそのものであった

最近の自作の作品です

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